歯周病と認知症について関係があることはご存じですか?
最近は、認知症の中のアルツハイマー型認知症が歯周病と関係していることが分かってきており今回はその関係性についてご紹介します。
認知症とは様々な原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなることで様々な障害が起こり、生活するうえで支障がでている状態(約6ヶ月以上継続)を指します。
※認知症は「記憶障害の他に、失語、失行、失認、実行機能障害が1つ以上加わり、その結果、社会生活あるいは職業上に明らかに支障をきたし、かつての能力レベルの明らかな低下がみられる状態」と定期されています。
アルツハイマー病とも呼ばれ、脳の神経細胞が通常より早く減少してしまい、認知機能が徐々に低下してく病気です。
・アルツハイマー型認知症は認知症の中で最も多くの割合を占め、主に40代以降の幅広い世代で発病し、65歳以上が特に多くなっています。80歳以上の約20%はアルツハイマー型認知症であると言われています。
【原因】
アルツハイマー型認知症の原因ははっきりは分かっていません、ただアミロイドβとタウ蛋白と呼ばれる2つのタンパク質が脳内にたまることで進行(神経細胞が障害されて減少)すると考えられています。
アルツハイマー型認知症はアミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳内にたまることで発症すると考えられていますが、歯周病菌によってカテプシンBという酵素が増え、アミロイドβ受容体が増加することで認知症を悪化させる原因となることが研究により明らかになってきてます。
それらの元となる研究論文では、3週間に渡って歯周病菌を直接投与したマウスと正常なマウスの脳内に蓄積されたアミロイドβ量を比較したところ
との変化が現れ、記憶実験により記憶力が低下していることが分かってきています。(文献1)
歯周病と認知症の関係性については他にも多数の報告があり50歳以上の歯周病患者9291人と健康な1万8672人を10年間追跡し調査した結果、慢性歯周病の人はない人と比べてアルツハイマー型認知症のリスクが1.7倍高くなったとの報告されています。(文献2)
歯周病菌との関連以外でも認知症の予防の為には「噛めること」。噛める歯を維持することが認知症予防には効果的であることがこちらも色々な研究で明らかになってきてます。
歯が20本以上残っている人に比べて、歯が数本で入れ歯を使っていない人を比較すると認知症リスクは約1,9倍、かかりつけ歯科医がない人ほど認知症になる確率が高く、かかりつけ歯科医のある人に比べて認知症リスクは1,4倍。であるとの調査結果もあります。
アルツハイマー型認知症を発症、進行させない為にも、お口の中をケアして口腔内環境を整えることは大切で、また歯周病の進行させずに歯を1本でも多く残していく為にも歯周病治療、歯周病予防を行ってで少しでもリスクを下げるようにしていきましょう
参考文献
1)Naoyuki Ishida N et al.: Periodontitis induced by bacterial infection exacerbates features of Alzheimer’s disease in transgenic mice. NPJ Aging Mech Dis 6:3:15, 2017.
2)Chang-Kai Chen C-K et al.: Association between chronic periodontitis and the risk of Alzheimer’s disease: a retrospective, population-based, matched-cohort study. Alzheimers Res Ther 8;9(1):56, 2017.
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